今回は,遺産争いを防ぐにはどうしたら良いのかについて解説いたします。
結論を先に申しますと,遺産争いを防ぐには遺言書を作ることです。
そのお話をさせていただく前に,私の前職,公証人時代のお話を少しさせていただきます。
遺言書を作る理由
私が公証人をやっている間,皆さんに遺言書を作る理由を聞くと,「父あるいは夫(妻)が亡くなったときに遺言書がなく,遺産分割協議で大変苦労したとのことでした。
「自分が亡くなったときは相続人に迷惑をかけたくないから遺言書を作っておきたい」というものでした。
確かに亡くなった人が遺言を残してない場合は,相続人間での話し合い,つまり,遺産分割協議によって遺産を分けることになるんです(民法907条)。
最近は,皆さんの権利意識がどんどん高まってきているため,
「お父さんの面倒をみたのは私(長女)だから兄や弟より多く遺産をもらうのは当然よ!」
「兄は父からすでに沢山の生活支援を受けたから遺産は少なくていい!」
などと,相続人間での話し合いがまとまらず,親子や兄弟姉妹の間で骨肉の争いが起こるケースが多く発生するようになりました。そうすると,相続のことは「もううんざり」って棚上げしてしまい,最悪なことに遺産分けが宙に浮いたままになってしまいます。
このような遺産争いを防ぐにはどのようにしたら良いか以下に解説します。
遺産争いを防ぐにはどうしたら良いか
それにはちゃんと遺言書を作るのがするのが最も有効な手段です。私が公証人をしている間に,遺言書を作成したことについて皆さんから後悔したという話はこれまで一度も聞いたことはありません。
「遺言書があって助かりました」
「相続人たちの実印がいらないので相続手続がスムーズにいきました」
などと感謝の気持ちをいただく機会の方が多くありましたから,遺言書の有効性は間違いなくあります。
遺言者の死後,遺言書があればその後の相続手続きがスムーズに行える
遺言書のことは誰に相談すれば良い?
ところで,「遺言を残したい」,「遺言のことを知りたい」と思っても,誰に相談すればよいのか分かりませんね。
そんなときこそは,法律の専門家といわれている「弁護士」,「司法書士」そして我々「行政書士」にまずは相談することをおすすめします。
このうち,誰に相談したらよいのか迷うと思いますが,弁護士,司法書士,行政書士に事前に電話等で確認して,皆さんのニーズに応じることができる専門家を選定することになると思います。
ちなみに,相続・遺言に関する相談内容が,①弁護士の独占業務にかかる裁判や調停に発展する可能性がありそうな場合は弁護士に,②司法書士の独占業務にかかる土地・建物などの不動産の取得や登記に関するものが主である場合は司法書士に,相談することをおすすめします。
遺言書を作成するには状況に応じて,弁護士,司法書士,
行政書士に相談する
次回は自分で書く遺言書,自筆証書遺言について,細かく解説していきます。