成年後見制度 PR

法定後見制度を利用する手続き,成年後見制度の登記について解説します。

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前回は,法定後見制度を利用した事例を紹介しました。

今回は引き続き,法定後見制度の話をします。

法定後見制度を利用するときの手続と流れについて,成年後見制度の登記について解説します。

法定後見制度を利用する際の手続の流れと,要する期間について

法定後見の開始までの手続の流れは,法定後見申立て→審理→法定後見の開始の審判・成年後見人等の選任→審判の確定(法定後見の開始)となります。

この申立てから法定後見の開始までに要する期間は約4か月くらいです。

 

法定後見が開始した後で,法定後見制度の利用をやめることができるかどうか

法定後見制度は判断能力が不十分な本人の権利を保護・支援する制度ですから,本人の判断能力が回復したと認められる場合でない限り,この制度の利用を途中でやめることはできませんので,留意しておいてください。

 

全国家庭裁判所における最近の法定後見関係事件の申立件数について

司法統計によりますと,平成26年から平成30年までの5年間の申立件数は,以下のとおりで,年々増加している状況がうかがわれます。

平成26年  34,373件
平成27年 34,782件
平成28年 34,249件
平成29年  35,737件
平成30年 36,549件

 

 成年後見登記制度について

成年後見登記制度が創設された経緯

平成11年の民法改正前においては禁治産(きんちさん)・準禁治産(じゅんきんちさん)の宣告がなされると,戸籍にその旨を記載していました。

しかし,行為能力の制限に関する事項が戸籍に記載されることにかなりの抵抗感があったことなどから,この禁治産・準禁治産の制度はあまり利用されていませんでした。

そこで,平成11年の民法の改正に伴い,従来の戸籍への記載に代えて,法定後見及び任意後見契約に関する新たな登記制度として成年後見登記制度が創設されました(後見登記等に関する法律第1条参照)。

成年後見人等の権限や任意後見契約の内容の扱い

成年後見登記制度は,成年後見人等の権限や任意後見契約の内容などを法務局の登記官がコンピュータ・システムを用いて登記し,また,登記官が登記事項を証明した登記事項証明書を発行することによって登記情報を開示するものです(後見登記等に関する法律4条,5条,10条など)。

 

登記事務はどこで行っていますか?

「東京法務局の後見登録課」で,全国の成年後見登記事務を一括して行っています。

 

どんなときに登記をするのですか?

法定後見(後見・保佐・補助)開始の審判がなされたときや任意後見契約の公正証書が作成されたときなどに,家庭裁判所書記官又は公証人の嘱託を受けて,東京法務局の後見登録課において,成年後見人等の権限や任意後見契約の内容を登記します(後見登記等に関する法律4条,5条)。

どのような場合に登記事項の証明書又は登記されていないことの証明書を利用することができるかについて

一例をあげれば,法定後見における成年後見人が本人に代わって財産の売買契約などを締結する場合に,その取引の相手方に対して「登記事証明書」を提示することにより,成年後見人の権限などを確認してもらい,相手方が安心して本人と取引ができるようにするために利用できます。

登記事項の証明書又は登記されていないことの証明書の交付請求の仕方について

請求者の住所,氏名,生年月日,資格(本人との関係)などを記載した交付請求書(注1)に,下記(注2)記載の額の収入印紙を貼り,必要な添付書面(注3)を添えて請求します(後見登記等に関する法律10条など)

(注1) 証明書の申請書用紙は最寄りの法務局・地方法務局,または法務省のホームページの成年後見制度のページなどで取り寄せできます。

(注2) 登記事項の証明書は1通につき550円登記されていないことの証明書は1通につき300円

(注3) 親族関係を証明する書面として戸籍抄本・住民票等,代理人による請求の場合は委任状による

なお,交付請求は,返信用封筒(宛名を明記して,切手を貼ったもの)を同封して郵送で行うこともできます。この場合には,免許証,運転経歴証明書,保険証,マイナンバーカードなどの中から,本人を確認できるもののコピーを必ず同封の上,請求してださい。

登記事項の交付請求の窓口及び郵送での請求先について

交付請求に関する詳細については,下記請求先に問い合わせてくだい

○ 請求先窓口

東京法務局民事行政部後見登録課,東京法務局以外の法務局又は地方法務局の戸籍課です。したがって,静岡県内の場合は,静岡地方法務局(所在地:静岡市葵区追手町9番50号,℡. 054-254-3555)の戸籍課に請求します。

○ 郵送での請求先

〒102-8226 東京都千代田区九段南1-1-15  九段第2合同庁舎東京法務局民事行政部後見登録課  ℡. 03-5213-1234(代表)

誰が登記事項の証明書又は登記されていないことの証明書の交付を請求できますか?

当該証明書の交付請求ができる者は,登記されている本人,その配偶者・四親等内(よんしんとうない)の親族,成年後見人等一定の者に限定されています(後見登記等に関する法律10条)

その理由は,取引の安全と本人のプライバシーの保護を図る観点によるものと思われます。

次回は任意後見制度について詳しく解説していきます。

成年後見制度知っておきたいこと④と書いてあります。
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